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酔鯨酒造のブランディング成功物語

  • 執筆者の写真: KANBEE INTEL,INC. 山本兼嗣
    KANBEE INTEL,INC. 山本兼嗣
  • 4月19日
  • 読了時間: 5分

更新日:5月19日

日本酒業界の現状とブランディングの必要性


2015年3月。日本酒業界は、人口減少や若者の酒離れといった厳しい現実に直面していました。そんな中、酔鯨酒蔵さんの「どこにも負けない日本酒企業をつくりたい」という強い想いに触れ、私は深く共感しました。この志が、私のブランディングに関わるきっかけとなったのです。


その頃、私はニューヨークのマーケティング会社と交流があり、現地のブランディング手法を学んでいました。ニューヨークは、国連の総本部があり、世界中から集まった300人種のスタッフがいる特異な都市です。異国の文化が交じり合い、独自の文化を形成しています。


このような環境では、誰にでも伝わるブランド手法が求められます。もしニューヨークの300人種に認められれば、世界で通用するブランド展開が可能です。アップルやNIKE、ユニクロなど、さまざまな企業がニューヨークでポップアップストアを展開し、成功を収めています。この流れを知り、私は日本酒のブランディングにも新たな可能性を感じました。


ロゴデザインの重要性


酔鯨酒造さんのブランド作りにおいて、最も重要だったのがロゴデザインです。ちょうどその検討を進めていた時期にニューヨークを訪れ、忘れられない出来事がありました。


2015年頃、日本のラーメン店や和食店がニューヨークで人気を博していました。日本酒を提供するお店も増えていました。現地のパートナーに連れられて訪れた日本酒レストランでは、多くの日本酒ボトルが並び、ニューヨーカーが接待で利用していました。その場で、現地の方にこう質問してみました。


「あなたは、この漢字のロゴを見て、お酒を選んでいるのですか?」


すると返ってきたのは、「正直、まったく分からない。どれも同じに見えるので、店員のおすすめを飲んでいます」という答えでした。この瞬間、私は日本人がワインレストランでラベルを見ても違いが分からない感覚と同じだと感じました。


世界に伝わるロゴとは


この体験を通じて、「世界に伝わるロゴとは何か」という答えが見えた気がしました。アップルのリンゴマークやNIKEのスウッシュ(Swoosh)は、誰が見ても忘れられないデザインです。日本酒も同様に、シンプルで特徴のあるデザインのロゴにするべきだと考えました。


数多くのアイコンデザインを試作する中で、現在の<SUIGEIクジラ>と<ホエールテール>の2つのロゴが完成しました。「酔鯨」という名前そのものにある“鯨”は、非常に分かりやすい象徴です。このモチーフを活かし、日常的に楽しむお酒には親しみやすい<SUIGEIクジラ>、高級レストランや専門店で扱われる特別なお酒には上質感のある<ホエールテール>というように、用途に応じてロゴを分けて設計しました。


それぞれのロゴは、ボトルだけでなく、Tシャツやスイーツ、グッズなどにも展開され、視覚的な認知を広げる役割を果たしました。その結果、ブランドの名前や印象を強く残すことに繋がったと感じています。


ブランドの成長と認知度の向上


今でこそ、シンボライズな日本酒ロゴは増えてきましたが、ロゴを作った当時はほとんどありませんでした。そのため、酔鯨という漢字のロゴがなくなり、マークやイラストだけになった商品を見たスタッフの中には、「会社を潰す気か!」と思った方もいたとか。しかし、結果オーライです。革新は常にチャレンジから始まります。


当時の酔鯨さんのブランディングチームの皆さんの決断が、今の成功に繋がったのだと思います。



ミシュランシェフとのエピソード


後日、ミシュランシェフとお話しする機会がありました。彼から非常に印象的なエピソードを伺いました。


「シェフ仲間と日本酒を飲み歩いていた際、時間が経ってもひねた感じがしない美味しいお酒がありました。飲食店の店主にこの酒のボトルを見せてくださいというと、それが<ホエールテール>の高育54号というお酒でした。酔っ払っていたので、記憶も曖昧でしたが、次の週に酒屋に鯨の尻尾みたいなマークのお酒が美味しかったから探して欲しいと尋ねると、「あ、それ、酔鯨ですね」と言われました。次の日にお店に持ってきてもらいました。酔っ払っていてもあの<ホエールテール>ボトルは、ちゃんと覚えていました。」


このエピソードは、ロゴと味がリンクして記憶に残っていたことを示しています。味と視覚が結びついたその体験は、まさにニューヨークで感じた課題への答えそのものだったと感じています。


教訓と未来への展望


私たちが学んだ教訓は、革新は常に現状を見つめ直し、未来を歩むために覚悟を決めたチャレンジから始まるということです。酔鯨酒造のブランディング成功物語は、私たちにとっても大きなインスピレーションとなりました。


私たちは、ブランド価値を高めたい企業や商品、店舗に対して、エンゲージメントマーケティングを通じて、顧客を熱心なファンに変えるお手伝いをしています。これからも、私たちの経験を活かし、さらなる挑戦を続けていきたいと思います。



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